その結果、今年度の美術科の学長賞に写真コースの
山本美里さんの作品「ここにいるよ ―禁錮十二年―」
が選出されました。
昨年の淡河佳代さんに続き連続の受賞です。
山本さん、おめでとうございました。
2019年度の卒業制作展は夏期に延期予定です。
会期、場所などが決まりましたらまたこちらでお知らせいたします。
山本さんをはじめ、秀作、力作揃いですので、ぜひご覧ください。
以下、写真コース主任の勝又公仁彦先生より、卒業制作のairUに出されたお知らせとメッセージを転記いたします。
2020年度以降の卒業制作に着手予定のみなさんも参考にされてください。
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写真コースの皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
卒業制作展が延期になり、今大学は静かな春休みを迎えています。
卒業制作展が延期になり、今大学は静かな春休みを迎えています。
例年、卒業制作最終スクーリングの後にコースブログにて賞の発表をおこなっており、残す学長賞の審査結果は卒展搬入後という流れでしたが、卒業制作展が延期ということでご報告ができずにおりました。先日、学長賞の審査が終わりましたのでこの場にてお伝えいたします。
● 受賞者
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【学科賞】1名 ※【学長賞】受賞
山本 美里「ここにいるよ ―禁錮十二年―」
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【同窓会賞】1名
由宇 芳上「異化する都市 ―ガラスの記憶―」
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【コース奨励賞】3名
岡﨑 稔「天台宗徳蔵寺 五百羅漢」
笹島 為典「紋 ―大地の行方―」
児玉 大輔「存在について」
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【学長賞】【学科賞】と【同窓会賞】には賞状と金一封が、【コース奨励賞】には賞状と賞品(小品)が贈られます。
受賞のみなさん、おめでとうございます!
【学科賞】は今年度写真コース卒業制作において最も優秀であると認められた作品に授与されます。
【学長賞】は美術科5コース各コースの【学科賞】受賞作品の中で最も優秀であると認められた作品に授与されます。
【同窓会賞】は同窓会より授与される賞で、コースの中でも特に作品への取り組みに熱意と個性が見られるものという基準で選出されました。
【コース奨励賞】学科賞、同窓会賞に続き優秀であると認められた作品です。
学科賞となった山本美里さんの作品は、
「医療的ケア児」と呼ばれる重度心身障害児の母親として毎日休むことなく学校に自主送迎と付き添い待機をする中で、医療および教育制度によって規定される支援の格差や矛盾を自己の存在と併せて考察し、写真によって可視化しました。
このような事実があることを世の中に周知させ、問題提起を行うとともに保護者の負担軽減に繋がる制度や意識改革に繋がることを企図しています。
健常者からは見えにくい問題を社会に提起し、介護の負担と学校との粘り強い交渉の中でまとめ上げ、また視覚的にも優れた作品に昇華させた力量が高く評価されました。
その内容を学長も高く評価され、今年度の学長賞に選出されました。山本さん、おめでとうございます。
同窓会賞の由宇芳上さんの作品は医師としての知見から被写体と撮影者の内的関係を「抗原抗体反応」とみなし、都市の中に去来する一瞬の光景をスナップショットにより複雑で非日常的な映像として定着させました。
コース奨励賞の皆さんもそれぞれにクリアな立案とコンセプトメイク、綿密な取材と撮影をもとに、丹念な作品作りをされ、様々な思考へと誘うすばらしい作品世界を繰り広げてくださいました。
2年連続で学長賞を受賞したことにも表れていますように、年々成果と評価の向上が見られる写真コースの卒業制作ですが、今年度は特に皆さんの発想の豊かさ、粘り強い取材態勢、高い完成度が際立っており、採点とともに賞の決定も非常に悩ましい選出となりました。
「賞をとれなくて残念だ」と思われている方もおられるかもしれませんが、賞というのは本当に僅差で決まってしまうものであり、どの作品も自身を出し切って輝きを放つものでした。どうか自信を持って卒業後も制作を進め、ブラッシュアップした作品を発表していっていただきたいと願っています。実際、卒業制作ではたまたま評価が得られなかった作品でも、その後の継続的な制作により、学外の大きな賞や出版、個展などに繋がった先輩方が多数いらっしゃいます。
卒業制作で得たものは成果物だけでは言い表せない経験と成長そのものです。
皆さんが学習と研究の中で得た様々なことを今後も活かし、これからの人生をより心豊かに、それぞれの資質と問題意識と魂をさらに磨きつつ、発信し続けてくださることを期待しています。
最後になりましたが、改めて、ご卒業おめでとうございます!
夏に延期された卒業式、卒業制作展でお会いできることを楽しみにしております。
それまで、お元気でお過ごしください。
写真コース 勝又公仁彦