2019年度卒業生の岡崎稔さん個展「街と鴉 SANO ASHIKAGA TOCHIGI」がIG Photo Galleryにて開催されます。ぜひご覧ください。
(以下、ギャラリーサイトより)
IG Photo Galleryでは2024年9月10日(火)より、岡崎稔展「街と鴉 SANO ASHIKAGA TOCHIGI」を開催いたします。
岡崎稔は栃木県佐野市生まれ。市役所勤務を経て2020年に京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)通信写真コースを卒業しました。卒業制作の「五百羅漢像」は、日本三大五百羅漢像の一つと言われる、栃木県足利市徳蔵寺に安置されている五百羅漢像 を1体ずつ撮影し再構成した作品でした。写真による貴重な文化財の記録であり、写真にすることで信仰の対象である聖なる像を細部までつぶさに観察することを可能にしました。
岡崎はその後、佐野市とその周辺の街の撮影をスタートしました。被写体となっているのはかつての賑わいの記憶を宿した建築物と街並みです。
この国の地方の多くは、高度経済成長期を経てクルマを中心とした生活に移行し、郊外のショッピングモールが商業の中心となっています。街の中心部は再開発の波にさらされ、過去のにぎわいを象徴する建築物が、一つまた一つと消えていきます。
岡崎は佐野市と足利市、栃木市に遺された建築物とその風景を写真にすることで、過去の街の姿へと私たちの想像力を導きます。その姿勢は20世紀初頭に失われつつあった19世紀のパリを写真に残そうとしたウジューヌ・アジェを彷彿とさせます。
むろん、21世紀に撮影された岡崎の写真は、色情報を含めて現実を大胆に切り取ったカラー写真です。街と建築をデザインした先人たちの美的センスを再解釈し、現代に蘇らせる──それが岡崎の狙いです。写真になることでその光景は時間を超え、のちの世に遺されます。
今回の展示のもう一つの要素となるのが「鴉(カラス)」です。鴉はこの作品に街を見るもう一つの視点を与えています。
人間ならざる存在にとってこの街はどのように見えるでしょうか?
岡崎は人間中心につくられた街と対になる存在としてカラスをとらえています。鴉たちは人間の営みを見下ろし、隙あらばあがりをかすめ取ろうとする抜け目ない視線を人間社会に送っています。
地に足をつけた人間の視線による街の写真と、街を睥睨する鴉の姿(を見る人間)。複数の視線が交錯することでこの国の地方都市の過去と現在が浮かび上がってきます。ぜひ、展覧会場で作品をご覧ください。
タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)
** 安心してご覧いただくため、空気清浄機、手指の消毒薬の設置などの感染対策を行います。
■作家プロフィール
岡崎稔 Okazaki Minoru
栃木県佐野市生まれ。2020年、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)通信写真コース卒業。個展:「五百羅漢像写真展」(サンルート佐野、栃木、2022)「SANO ASHIKAGA 街の記録」(佐野市城山記念館、栃木、2024)ほか。
■会期
2024年9月10日(火)~28日(土)
時間:11:00~18:30
休廊:日曜日・月曜日・祝日
■トークセッション(録画配信)
9/14(土)18:00より録画配信予定
岡崎稔×タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)
YouTubeにて、配信します。
チャンネル名:IG Photo Gallery
▼これまでのトークセッションの録画。